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鮭と釣り
    巨大ブラウントラウトが跳ねているゴアの町の公園。
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FISHING ESSAY
夷谷元宏  トラウトアンドキング 海外釣り専門旅行会社
「世界の鮭釣り事情
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佐々木潤  アラスカ・ダッチハーバーのアリエスカシーフーズ社の副工場長
「世界の釣り事情 アラスカ編」vol.1
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市村政樹 標津サーモン科学学芸員
「回帰したサケはなぜ釣れるのか?」vol.1
「回帰したサケはなぜ釣れるのか?」vol.2
「回帰したサケはなぜ釣れるのか?」vol.3
藤本靖 (社)北海道スポーツフィッシング協会・会長
「日本初!サケ釣りが堂々とできる川、忠類川サーモンフィッシング12年の歩み」①
「日本初!サケ釣りが堂々とできる川、忠類川サーモンフィッシング12年の歩み」②
「日本初!サケ釣りが堂々とできる川、忠類川サーモンフィッシング12年の歩み」③
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世界の鮭釣り事情ニュージーランド編 トラウトアンドキング海外釣り専門旅行会社 夷谷元宏
ブラウントラウト釣りなら、ニュージーランド・マタウラリバーが世界の中心。
牧場の土手を歩いて、ライズリングを探す。
南半球のニュージーランドは「地球の箱庭」と称されるほど小規模ながらも自然の景観が美しく、その緑の山や森のフレームには必ず青くて美しい川、湖、海が写り込むほど水が豊富である。そこにはサーモンと鱒が生息しいて、海外からたくさんの釣り人が訪れている。ここは特に大物の鱒が釣れる事で有名なのである。しかし、もともとニュージーランドにはサーモンも鱒もいなかった。19世紀後半に人の手で様々な生息地から移されたものが、今でもこの地に適合しながら世代交代を続け繁殖している。サーモンは様々な種類がニュージーランド中の川に放流されたのだが、定着したのは南島の一部、種類はキングサーモンのみとなった。一説には、海に下ったサーモン達は海流の関係で元の川に戻ることができなかったそうだ。それに比べて淡水のみで生活をする鱒は、綺麗な水を湛える川や湖が豊富なこの国で大きく育つことができた。もともとニュージーランドには淡水魚が少なく、競争相手がいなかったために餌を独占することができたのだ。この、どこの地域よりも大きくなる遺伝子を受け継いだ魅力的な鱒達が、我々の今回のターゲットとなった。
夕方に近づくにつれて増えるライズ。起こす波紋は小さいが、水中の主は50センチを越える。
マタウラリバーはニュージーランドの南島のなかでも最南端に流れ出す大河で、その上流部から下流部までブラウントラウトの魚影が非常に濃い。ブラウントラウトは先のアメリカ編に登場したニジマス(レインボートラウト)と並んで釣り人に人気のある鱒で、ニジマスがアメリカ原産なのに対してブラウントラウトはヨーロッパ原産で、名曲「シューベルトの鱒」のモデルとなっている。ニジマスの貪欲に餌を食べる単純な性格に対して、ブラウントラウトは餌の食べ方が気難しいとも言われていて、その性格もなんだかヨーロッパ人っぽい。体色は名のとおり茶色で黒や赤の斑点が美しい。ここでの大きさは平均で45センチ以上、アメリカで必死に狙ったニジマスの20インチ(50センチ)は簡単に超えてしまうのである。また、どれくらい魚影が濃いかというと、アメリカ編で探し出すのに苦労したライズリング(魚が水面で餌を捕食する時に作り出す波紋)が、見渡す限り川一面で起こるほどで、これは伝説的に「マタウラマッドライズ」などと呼ばれている。そのため、この地は原産地のヨーロッパを差し置いて、「キャピタルオブブラウントラウト」(ブラウントラウト釣りの世界の中心)とまで呼ばれているのである。さて、果たして、今回の、我々釣り人にとって興奮が抑えられないのは必至である、大きな魚がうようよいる(であろう)マタウラリバーへの釣り旅の結果はいかに?「マタウラマッドライズ」には出会えたのであろうか?!・・・
広い川中を右往左往して、やっと顔を上げた。美しいブラウントラウトの顔
2月の初旬、我々6名は成田からニュージーランド航空直行便で約10時間、ニュージーランド最大の都市オークランドに着いた。しかし何をする間もなく第二の都市クライストチャーチに向かい、ここも流れるように乗り継いで、南島最南端の寂れた町インバカーギルに着いた。空港にフィッシングガイドのデイビッドが出迎えてくれ、早速魚の状況を聞いてみると、かなりライズは多いとのことだ。インバカーギルから車で約40分のマタウラの町までは、釣りの話に盛り上がり、あっという間の出来事となった。ホテルにチェックイン早々釣り仕度をして川に行ってみると、そこにはすでにライズがポツリポツリと起こっていた。今の時期は真夏にあたり、昼間の気温と水温は鱒にとっては少し高すぎるようだ。魚の餌であるカゲロウは気温が低くなりだす夕方から羽化を始める。まさにこれから虫や魚の活性が高くなるであろう時である。時とともに水面を流れるカゲロウは増え、それにつられて魚のライズは増えてきた。今は夕方の7時なのだが、まだ日は高く、この時期の日の入りは9時30分頃となり、10時過ぎまで釣りはできる。ニュージーランドで釣り始めからプライムタイム突入なのである。いきなりの好況に胸が高まった。興奮して振るえる手でいざ、一投。魚がライズを繰り返している流れの筋にできるだけナチュラルにカゲロウのイミテーションフライを流すと、いきなり大きな口が水面に現れフライを咥えて沈んだ。慎重に竿を立てるとずっしりとした重みが竿全体に乗った。広い川中をめいっぱい右往左往してあがってきたのは、50cmもの美しい魚体であった。
Tさんが釣り上げた62センチモンスター。今回の旅の最大魚。
それからの5日間というもの、主要な時間帯にはライズリンズに囲まれ、活性の低い時間帯にはニンフフィッシング(フライを水中に沈めて探る釣り)で、常に魚達は我々の目の前に現れ、参加者全員がすばらしい体験をすることができた。山口県から参加のTさんは、普段は山岳渓流にアマゴやイワナを狙って出かけているのだが、今回のようなゆったりとした大場所でのライズフィッシングにはあまり慣れていなかった。そのため、ライズに囲まれるような状況でも始めの2日間は納得のいく釣りはできなかったようだ。しかし、3日目にもなり、だんだんとライズへのアプローチを学び、なんとか1本目をあげてからは、まばらなライズの中でも次から次へと魚を釣り上げて行った。彼の今回の最大魚はなんと62cmのモンスターであった。今回初参加のSさんは、初心者でフライキャスティングもままならなかったのだが、フライを足元から流れの中に流し込む方法で、50cmクラスの魚を何匹かキャッチすることができた。
夷谷元宏 プロフィール
Ebisudani Motohiro
1996年-97年ニュージーランドに1年間フライフィッシング目的で滞在し、各地を探釣する。釣行記を雑誌に投稿。
1998年帰国後、ニュージーランドソルトウォーターフライフィッシング国際トーナメントに日本チームとして出場。以降3年連続出場。
同年トラウトアンドキングフィッシングツアーを立ち上げ、ニュージーランドヘ釣り人を案内。以降、他のデスティネーションにも自ら足を伸ばし、ニュージーランドだけでなく、アメリカ、カナダ、オーストラリア、メキシコ、コスタリカ他各地へ送客。現在に至る。
初心者ながらもお見事、いいサイズをキャッチしたSさん。
毎回、釣りに出かける前には理想やイメージが先行して、頭のなかだけにパラダイスが形成されている。いざ着いてみると、そのパラダイスは一掃され、雨や寒さや増水や減水、魚が全く見あたらなかったり、小さな魚しか釣れなかったりと悲惨な目にあうことがほとんどである。しかし、今回は、頭の中の楽園以上のパラダイスがそこにあった。夢のような釣果を参加者全員で味わうことができた。帰途の機内で、我々は、遥か昔に人の手でつくりあげられたこのパラダイスが永遠に残る事を願って、来年の再訪を誓った。ニュージーランドワインで祝杯をあげながら。
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